やはり脱サラしかない?-「企業社会と私」追補

2009年12月21日から2010年1月8日に連載した、「企業社会と私」シリーズ(全5件、勤めている会社で私が感じ、考えたこと、特に「成果主義」の弊害について私見を述べたもの)の追補です。

その連載のあと、知人にこの本を貸していただきました。
「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」
1990年代に、先進的に「成果主義」を取り入れたものの、社内の混乱を招き、業績を悪化させていった経緯が書かれています。

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)
(2004/07/23)
城 繁幸

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まるで、今私が勤めている会社のことが書かれているのかと思いました。成果主義や目標管理の仕組みもそうですが、「社内総無責任体制」「社員はこうして「やる気」を失った」など、社内の雰囲気や出来事があまりにそっくりなのです。
理由は若干異なるものの、「無気力化する中高年」もそのものであり、それが若手社員に悪影響を及ぼしているところも同じです。

しかし、この本にも、成果主義そのものが悪いとは書かれていません。うわべだけの制度導入により、成果主義がまともに機能しなかったことが問題と書かれています。
そして、「人間は(機械の)部品ではない」「人の気持ちを無視した制度に未来はない」と記されています。最も言いたかったことではないかと思います。
ここが、私の考えと完全に重なりました。今回の追補を書いた理由がここにあります。
私の会社も、形ばかりの「成果主義」により、従業員を機械の部品のように扱う結果を招きました。システムをつくり、マニュアルを配布すれば、あとは従業員が完璧に作動するはずと。
しかし、誰もが能力の凸凹を持っているわけで、ひとりひとりの能力をていねいに見ていかなければ、当然ながら能力は発揮されません。特に発達障害者は、能力の凸凹が大きく、これではシステムから外れてしまいます。
つまり、発達障害者が大切にされる環境は、すべての従業員が能力を発揮でき、会社の生産性にも必ずプラスになると考えます。

さて、私のことです。
私の会社では、機能していない「成果主義」により、労働意欲の低下と、「自分にさえ火の粉(責任)がかからなくなればOK」という保身的・個人主義的発想が蔓延しました。アルバイトの方が、「この会社は、新しいことをしようとすると、すべて自分に押し付けられてしまう」と言っていました。悲しく、情けない状況です。
私は、その雰囲気になじめず、微力ながら「おかしい」と言い続けてきました。でも、話がかみ合いません。もちろん、コミュニケーション障害を抱えた私のこと、かみ合わないのは当然かもしれません。しかし、保身的・個人主義的な考えになじめないのです。

最近、複数の方から転職(脱サラ)の勧めを受けます。それも、私のブログ記事を見てのことです。「今の会社にいてもやりたいことをやれない」とのこと。
今の会社でやるべきことは、やってきたと思います。そろそろ脱サラなのかもしれません。

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テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム - ジャンル : 心と身体

コメント

No title

「やはり脱サラしかない?」 拝読しました。
僕は「それでも辞めないが勝ち」「辞めるな、サラリーマ
ン」が、この国の実態に見えている者なので
それ故「そろそろ脱サラ・・・」との思いに至った過程は
理解できても、実行される時、生涯の暮らしを描き、「
今のキャッシュストック、これからのキャッシュアウト&
イン、そしてキャッシュフローを重々計算してください」
と申し上げます。
僕は仕事は生活の手段、社外での暮らし方が自分自身と
思ってます。
それ故、会社を辞めないで今日まで来たのだ(来れたのだ)、
と思います。
だから「今の会社にいてもやりたいことをやれない」のでは
なく「今の会社で出来ることをやってきた」だけです(やり
たいことをやれない⇒会社が求めていないことなら、やれな
くて当然です・・・←貴殿の思いと違う言い回しと思います
が・・・)。
「今の会社でやるべきことは、やってきたと思います」とは
違う思いで、出来ることをやってきたら、それは「やるべき
ことだった」と、最近は感じてますが・・・
再度「そろそろ脱サラ・・・」に戻ります。どのような理由
であれ「今の貯金⇒脱サラ(起業or再就職まで)に必要な費用
⇒起業or再就職の後の収入⇒その収支が生涯の暮らし(すご
く幅がありますが)を担保できること」を試算ください。
「それでも辞めないが勝ち」「辞めるな、サラリーマン」と
の言葉は、これからの日本を思うと、ますます現実な選択に
思うが故、記させていただきます。

Re: Neighborhoodさん

貴重な意見ありがとうございます。
「先立つものは金(かね)」、非常に重要と考えています。転職は、私の10年来のテーマであり、そう考えながらも今の仕事を続けてきたのは、「金」の問題ゆえの部分が大きいです。
しかし、例の「私の発達障害を見つけ出した友人」は、「金」を上回る問題として「命」の問題を指摘しています。将来も曲がりなりにやっていけるのであれば、「告知」は行わなかったと。彼女曰く、「既にあなたは非常に危険な状態である」と。
仮説に過ぎませんが、「あなたは顕著な二次障害を起こさない分、『ガス抜き』されずため込んでいるので、いつか爆発する」との見解です。自分のストレスを意識化できない特性ゆえ、危険なわけです。
今は、あわてて「継続か転職(脱サラ)か」を選んでしまうのでなく、両方の選択肢を持ち、それぞれの可能性(危険性)を探り続けようと考えています。
また、私の動きを見て意見いただけると幸いです。

ありがとうございました。

安藤さま

本日は返信も出来ずに不安の中参加して頂き誠にありがとうございました。
楽しんでいただけたでしょうか・・・

席があり良かったです。

今後もまた「浅羽さん」のライブを企画しますので、その時は事前にお知らせいたしますので、今回ご返事遅れましたことをおゆりしください。

ブログでも報告しますので、良かったら見てもらえたらうれしいです。

本日はありがとうございました。

住空間style 
船木 芳朗
ブログ http://sakurahouseyoshiaki.blog63.fc2.com/
HP http://zyukukanstyle.sakura.ne.jp/
TEL 0771-21-0508
FAX 0771-21-0509

Re: こちらこそ、ありがとうございました。

住空間style 船木芳朗 様
すばらしいライブの企画、ありがとうございました。浅羽由紀さん、舟木様、そしてライブに来られた方々と出会えて、ほんとよかったです。同じテーブルの方と自転車談義までできるというおまけ付きでしたので。
開演前に浅羽さん本人が客席まであいさつに来られたのは、舞台の裏方をちょっとかじっている私にとってはびっくりでしたが、そのおかげで最初からものすごく親近感が持てました。この技、今後使えそうです。
実は、浅羽さんのことを知ったのは、ライブ当日の朝だったんです。由紀さんのブログにあるライブ映像を観た瞬間に、「これは絶対行くしかない」と確信しました。もちろん、行って大正解。こういうアーティストの登場を待ち望んでいました。
また、浅羽さんを亀岡に呼んでください。それまでにファンをたくさんつくっておきますので。
船木様のブログ、ゆっくり読ませていただきます。ライブレポートも楽しみにしています。
今後ともよろしくお願いします。

No title

今晩は。
昨日は「気持ちを言葉で表すことの難しさ」を思いながら、
「脱サラしかない?」とのタイトルだけに反応して、記しました。 
少し追記させてもらいます。
僕は「生涯の暮らし」「暮らし方」と書きました。食べていけるだけ
のお金、などとは書いていません。
「命」をつなぐことではない「自分自身の暮らし方」を作ることが
大切だとの思いです。 この気持ちをご理解願いたく思います。

それから「自分のストレスを意識化できない特性ゆえ、危険」と書
かれていますが、「社員のストレスを認識できない社風故の危険
性」なんでしょうね。
実は貴方は十分意識されているんですが、その受け手は会社に
はいないのです。 形ばかりのメンタルヘルスケアや産業医との
相談時間のシステムがあるだけです。
だから、社外で「自分自身の暮らし方」を作ることが大切だ、
と思うのですが、そのような面からは、十分持たれているように
見えるので、安心したりもしています。
ということで又


お久し振りです。

人は(機械の)部品ではなく、また人の気持ちを無視した制度に未来はない。また、発達障害者にとって働きやすい環境は、そうでない人々も含めて皆が能力を存分に発揮できる……甚く共感します。

昨年の秋に組合の大会で喋ったこと、土日の合宿でその後の報告を兼ねて何人かの仲間に聞きますと、概ね好意的でした。

これからも色々な場で発達障害の問題について情報発信して行きたいと思います。
ブログは未だ忙しくて準備が整っていません。もう少しお待ち下さい。

Re: Neighborhoodさんへ

再コメントありがとうございます。
「自分自身の暮らし方」を作ること、まったく同感です。この会社にいたからこそ、時間的、金銭的にも余裕を持つことが出来、自転車、演劇などいくつもの趣味を持てたのだと思います。
ただ、「友人」の指摘は、将来「働けなくなる」ことを意味しています。花粉症のごとく、「気付かずにため込んでいるストレスがどこかで一杯になる」、と考えていいでしょう。「普通」を装うことで、ため込み続けているストレス。一杯になると、命をつなぐことさえ危うくなると。
そう、私が直面する不安要素は、まさに「社員のストレスを認識できない社風故の危険性」です。体制というより、「器」の問題でしょうが、私特有のストレスを受け止めてもらえるところが、今はどこにもありません。
また、いくつもの趣味や、出勤前の早朝練などは、何にも代えがたい私の楽しみですが、それは同時に、無意識のうちに自分が抱えるストレスを解消するがために始めたものかもしれません。
「脱サラ」という言葉に振り回されないようにし、でも自分の命を守るべく、日々の動きを見極めていこうと考えています。

Re: お久し振りです。

paix31415さん、おひさしぶりです。
大会での発言、「障害は、個人(本人)の問題でなく社会の問題である」ことが伝わったのでしょう。すばらしいです。
そういう機会が増えてくると、少しずつでも変わっていくと思っています。
そう、人は誰もが機械の部品でないんです。悪く言えば、融通が利かず、使いこなしにくいもの。でも、伸びてきた会社は、そこをわかって、向き合ってきたのではないかと思います。
微力であっても、ゼロではないはず。発信していきましょう。

初めまして

初めまして、私は現在求職中の「自閉症の中小企業診断士」です。実務補習をあと1社クリアすれば診断士の正式登録を行う予定です。私は今までも就職活動には非常に苦労を続けたので、ある程度クライアントが確保できそうなら、それ以上既存組織にしがみつこうとせずに独立するつもりでいます。

Re: 初めまして

yamadaさん、はじめまして。中小企業診断士、すばらしいですね。独立、応援しています。
私は、当面は今の仕事を続けながらも、常に脱サラの可能性を探っていこうと考えています。
今後ともよろしくお願いします。

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プロフィール

まさ(climbmasa)

Author:まさ(climbmasa)
40歳を過ぎて、人とちょっとだけ違う自分に気付きました。ここでは、自分が感じたことを、そのまま表現していきます。
広汎性発達障害(アスペルガー症候群)の当事者です。「人並み」ができず、いろんな場面で苦戦していますが、多くの人に助けられながら生きています。
このブログを通じて、少しでも多くの人に発達障害のことを知ってもらえればと思います。
「自己紹介」カテゴリに、私のプロフィールを置いています。

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