夏休みの電気工作レポート(オーディオアンプ関連装置)理論編

夏休みの電気工作レポート(オーディオアンプ関連装置)その2は、理論編です。
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こちらの記事から入られた方は、ひとつ前の記事(実践編)もあわせてどうぞ。

今回製作の自動電源制御装置を含めたオーディオアンプ全体です。
まだ、テスターでバッテリー電圧を監視しながら使用しています。安定に動作することが確認できたら外します。
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中央:A級6W窪田式パワーアンプ(終段2SK1529/2SJ200) *MJ無線と実験1995年9月号の記事に温度補償回路を追加
左:定インピーダンス型アッテネーター(20kΩ 2dBステップ 0~-48dB)&セレクター(5系統)

概念図です。
左の太枠が今回製作した部分です。他は20年以上前に製作したままです。
バッテリー電圧を測り、充電器の電源を自動でON/OFFするだけです。
アンプ全体図スクリーンショットt

今までは、充電器のON/OFFを手動でやっていたわけです。切り忘れて過充電になることがありました。
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ちなみに充電器部分です。箱に入っていません。右が電源トランス、左上がダイオードブリッジと抵抗です。
充電器と電源制御装置は、一般的なACプラグで接続されています。差し替えれば、従来の手動制御に戻すこともできます。
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ここから難解な話に入ります。大ざっぱな考えのみ受け取っていただけると幸いです。
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電源制御装置の回路図です。
ネット上にある、太陽光発電パネルの充放電制御装置の回路などを参考にしました。
電源制御201808t
フリーソフトの回路図エディタ(BSch3V)を初めて使いましたが、インストール後30分ほどで書き始めことができました。

各部分の役割を書き込んでみました。
電源制御201808スクリーンショット2t
BSch3Vは、複数の階層(レイヤー)に分けて書き、重ね合わせることができるので便利です。

さらに拡大します。左側から。
今回の要は、基準電圧IC(TL431)。バッテリーの電圧変動に関係なく安定な2.5Vをつくりだします。
その基準電圧と、抵抗分圧されたバッテリーの電圧を比較します。
バッテリー電圧24~26Vを9:1~10:1に分圧すると、2.5V近くになります。
基準電圧2
過放電検出側R4の値は、満充電検出側R2よりわずかに高くなっています。
VR1, VR2 で、検出電圧を微調整します。

横向き三角形(オペアンプ LM358)が、分圧されたバッテリーの電圧と基準電圧を比較します。
わずかな違いをHighかLo(1か0)に変換します。一種のデジタル回路です。
電圧比較ヒステリシス

ただ、「電圧が上がればOFF、下がればON」だけでは、ON/OFFを頻繁に繰り返し、実用になりません。
再度ONになる電圧との間に「ずれ」をつくる必要があります。
ヒステリシス回路によってずれを設けます。VR3でずれ幅を調整します。
ヒステリシス図t

オペアンプでは大きな電流を扱えないので、トランジスタを使って大電流をON/OFFできるようにします。
位相反転では、「HighかLo」を反転させ「LoかHigh」に変換します。
AC100VのON/OFFには、機械式のリレーを使います。「カチン」と音がし、接点の動きが見えます。
ギザギザ矢印の付いた部品がLEDです。
スイッチング

充電器につながるAC100Vの入出力部分です。
リレーでON/OFFされた後に出力側へ送られます。
充電表示のネオン球がここに付きます。
AC入出力
OFFになった瞬間の充電器(電源トランス)からの逆起電力を逃がすため、スパークキラーを付けています。リレー接点が守られます。

各設定値です。(カッコ内はバッテリー1個あたり)
充電OFF:26.4V(13.2V)/充電再開:25.4V(12.7V)
過放電警告:25.0V(12.5V)
(バッテリーの特性や充電/放電電流、使用環境を考慮して決定したものです。他の機器にそのまま適用できるものではありません。)
消費電流:10~17mA(リレー駆動電流含む)

回路の簡略化や消費電流削減の余地はあるでしょうが、一旦終了としました。
なお、自作に完成はありません。改良に終わりはありません。



私の電気の趣味に大きく関わった雑誌たちを紹介します。
1970年代後半~1980年代初め:子供の科学、ラジオの製作
電気の奥深い世界へ入っていくきっかけです。初心者向け製作記事に夢中になりました。
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初歩のラジオ、そして短波。
電気は自ずと電波の世界へ向かいます。BCLです。
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1980年代:CQ ham radio、モービルハム
必然的にアマチュア無線へ。無線関連機器やアンテナをいろいろつくりました。
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1990年代:トランジスタ技術、MJ無線と実験
さらに繊細で奥深い、オーディオ機器の自作へ流れます。
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これらアナログ回路との関わり方を一言でいうと、「どこまで謙虚になれるか」でしょう。
ちゃんと動作するかどうかは、必ず起こる想定外の現象にどこまで耳を傾けられるかにかかっています。
目の前にある作りかけの回路は、自然現象そのもの。思い通りにならなくて当然です。
回路を動作させることは、自然と共存すること。それが果てしなく面白いのです。

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夏休みの電気工作レポート(オーディオアンプ関連装置)実践編

夏休みの電気工作レポートです。
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私の趣味の原点である電気工作。小さい頃より機械ものが好きで、10歳のときにはハンダごてを握ってラジオをつくっていました。
ここしばらく電気から離れていましたが、50歳を過ぎて戻ってきました。
修理は時々ありますが、一からつくるのは20年ぶりです。

今回の工作は、オーディオアンプの自動電源制御装置です。
アンプ本体は1996年頃につくった窪田式アンプ。20年以上安定に動作しています。
左はアッテネーター(音量調整)、右はバッテリー充電器の電源スイッチです。こたつの中間スイッチを使っています。
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参考記事:バッテリー駆動 MOS-FET A級 6W パワーアンプ 窪田登司(MJ無線と実験 1995年9月号)

ボンネットを開けました。大きな放熱板が見えます。真空管式でありません。
少々ほこりをかぶっていますが、気にしないでください。
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アンプ後方です。カーバッテリーが2つ並んでいます。外箱に入れたまま使っています。
右上にわずかに見えるのが充電器の電源トランス。通常、充電しながらアンプを動作させます(フローティング充電)。
今までは充電器の電源を手動でON/OFFしていましたが、切り忘れ/入れ忘れで過充電/過放電になり、何度かバッテリーを痛めました。
バッテリーを新調したことをきっかけに、充電器の電源ON/OFFを自動化することにしたわけです。
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部品です。
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部品の続き。配線材、ケースです。
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わかる人にはわかる、シルクハットの付いた昔なつかしいトランジスタ(2SC372)です。部品箱に30年以上眠っていました。
今回使ってしまいます。
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似た形をしていますが、こちらは基準電圧IC(TL431)です。本装置の要です。
温度補償されているので、安心して使えます。
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ICといえばゲジゲジですね。OPアンプ(LM358)です。
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基板上に部品を仮配置してみました。基板の穴は2.54mm間隔、大きくありません。
トランジスタ上部にランク分けの記号(Yの文字)が見えます。最近のものにはありません。
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基板の裏をハンダ付けし、つないでいきます。間違わないよう、隣とブリッジしないよう、慎重に進めます。
出来上がったら、バラック状態で動作を確認します。
一発では決まりません。部品を入れ替えたり(定数変更)、回路を増設するなど、狙い通り動くようにしていきます。
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基板が完成したら、ケースを加工します。ランプやスイッチを取り付ける穴を開けます。
プラスチックなので、容易に加工できます。
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ケースに収め、配線していきます。形になってきました。
配線が完了したら、裏ぶたを閉めます。
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前面です。
真ん中のランプはネオン球、その左右はLED。市販品では考えられない配置ですが、これには大きな理由があります。
自作ならではです。
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後面です。AC100VのIN/OUT、そしてバッテリーとつなぐラインです。
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再度動作確認したのちに、実際につないでみました。こたつのスイッチはもうありません。
アンプ動作中は、基本的に充電を続けます。自動的に充電がONになり、AC100Vが通電している証拠であるネオン球が点灯します。
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アンプの電源を切り、バッテリーの電圧が上がれば、自動的に充電がOFFになり(ネオン球も消灯)、右の赤LEDが満充電を知らせます。
左の黄LEDは、バッテリーの電圧が低下したときに点灯する過放電警告です。
自動制御装置は常時通電ですので、過放電になることはありませんが、念のため設けました。
動作試験時にしか点灯を見ていません。
左端のスイッチを下げれば、充電器がOFFになり、AC100Vを使わないバッテリーだけの音を聴くこともできます。
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久々の電気工作、お盆休みをフルに使って仕上げました。一筋縄でいかないことろが楽しいです。
次回は工作レポート理論編をお届けします。
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私の趣味の原点・電気-発達障害と関係しているか?

私の小さい頃からの趣味である、電子工作に関係する話です。「電気、理科系」カテゴリの第2話です。
今回は、電子機器の修理の様子を紹介します。後半に、この趣味と発達障害との関連について考察してみましたので、最後まで読んでみてください。

私が長年目覚ましに使っている、タイマー内蔵FMチューナーが突然動かなくなりました。目覚ましですので大変です。
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電源がまったく入りません。買い替えも考えたのですが、とりあえず修理を試みることにしました。
天板を外したところです。
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テスターで、電源回路から探っていきます。20年以上愛用しているテスターです。
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電源回路は左側にありました。トランス(正面奥)の1次側、2次側の電圧から見ていきます。問題なく電圧が出ていました。整流器(ダイオードブリッジ)の前後も問題ありません。
しかし、電源IC(中央の銀色のもの)の先に電圧が出ていません。
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銀色の板(アルミ板)は放熱器。こんな部品が付いています。左が取り外したもの。
手持ちで替わりになるものがないか探したところ、出てきました。
付いていたものは、「3端子レギュレータ」と呼ばれる「78M12」、手持ちは「7812」。規格が若干異なりますが、おおむね最大電流が0.5Aと1Aの違いのみ。厳密には、消費電流や残留ノイズなどに違いがあるはずですが、たいてい「大は小を兼ねる」でいけるもの。取り替えてみました。
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底板を外したところです。ハンダごてで電源ICのハンダを溶かしながら、「ハンダ吸い取り器」(後述)で吸い取ります。電源ICの位置は、右寄りのちょっと黒っぽいところ。といっても、こげているわけではありませんので。
未だ、RoHS指令引っかかりまくりの鉛ハンダを使っています。ごめんなさい。
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交換が完了し、ふたをしめて電源を入れてみました。何事もなかったかのように動き始めました。
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ちゃんとステレオ受信しています。
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工具です。中央のハンダごては、40Wと15W。今回は40Wを使いました。
右端がハンダ吸い取り器。中にバネが入っていて、ボタンを押すと「ポン!」とバネが伸びて口先からハンダを吸い取ります。ハンダがよく溶けた状態を見計らって「ポン!」には、ちょっと慣れが必要です。
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この電気の趣味、小学生ときから続いている、私の趣味の原点です。今も続いているのは、同じ趣味の仲間がいたなど、続けられる環境に恵まれたからだと思います。しかし、この趣味が難しくて離れていった友人も少なくありません。私の場合、続けられる環境と、過集中などの発達障害特性が重なって、特技と呼べるまでになったと考えています。
そしてこの趣味は、私の「もののとらえ方」に大きく影響しています。こういったアナログ電気回路は、0・100思考で考えられず、合格点(例えば60点)といった考えが必要になります。その上、合格点は自分で決めるしかないのです。今回の電源ICの選択もその一例です。
そのおかげか、部分的ではあるものの、私は0・100でない考え方が出来るようです。

最近、主に定型者の立場から、発達障害者の得手・不得手に対し「何もかも発達障害のせいにしている」と言うケースを目にします。でも、「発達障害と関係ない」「発達障害のせい」という0・100で考えず、「経験と発達障害特性が関係しあっている」とアナログ的に考えれば、容易に説明が付くように思います。

環境と特性のコラボ、そしてそこから生まれた「0・100で考えない発想」を、発達障害者の側から提案するって、ちょっと面白いと思いませんか?

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得意なこと

自分の苦手なこと、嫌なことは思い出したくないので、得意なことを考えてみた。
学生の頃、物理、特に力学と電気は、誰にも負けなかった。力や電気の流れが「見える」。
恐らく、イメージや雰囲気(=情緒?)の意識が弱いから、事実をそのまま受け入れてしまえるのであろう。
例えば、キャッチボール。「投げたボールに推進力は働いていない。働いている力は重力と空気抵抗。」との説明を受ければ、「あ、当然やん」って感じ。速度は落ちてくるし、高度も下がってくる。実に簡単。
空中を飛ぶボールを示す点に、下向きと後ろ向きの矢印、すぐに書けます?

あと、手先は器用だと思う。かなり。手先といっても、物理的な動きや微妙な音の変化を感じ取れて初めて動くものなので、感覚過敏や聴覚過敏が影響しているのかもしれない。
ちなみに、他人の聴こえ方がわからないので、自分が聴覚過敏かどうかはわからない。

反対に、お絵かきはまったくダメ。今も、パワーポイントのシートを上手に作るなんて絶対できない。
思いついたことを書くのもダメ。この日記、続くのだろうか、、、

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プロフィール

まさ(climbmasa)

Author:まさ(climbmasa)
40歳を過ぎて、人とちょっとだけ違う自分に気付きました。ここでは、自分が感じたことを、そのまま表現していきます。
広汎性発達障害(アスペルガー症候群)の当事者です。「人並み」ができず、いろんな場面で苦戦していますが、多くの人に助けられながら生きています。
このブログを通じて、少しでも多くの人に発達障害のことを知ってもらえればと思います。
「自己紹介」カテゴリに、私のプロフィールを置いています。

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