自己表現が認められない会社に未来はあるか?そして私の決意

先週末、演劇や音楽ライブをいくつか観てきました。そこで、あることに気付きました。
「自己表現が認められない会社に未来はない!」
あまりに唐突ですね。少し解説します。

以前、企業の中で私が経験したことを記事にしました。
「企業社会と私」シリーズ(2009年12月21日-2010年1月8日、計5回)
職場での「内と外を分けない実証実験」報告(2012年1月7日-1月26日、計6回)

ここでは、形ばかりの「成果主義」によって起こった、職場の無気力な雰囲気、セクショナリズムなどの現象を、私の経験に基づいて記しています。
この記事に、それを端的にまとめています。
やはり脱サラしかない?-「企業社会と私」追補(2010年2月27日)

でも、なぜそういう現象が起こるのか、どこに解決法があるのか、今ひとつ説明しきれませんでした。
今回、演劇やライブを観ていて、その謎が解けたわけです。

今回観た演劇・ライブの出演者のほとんどは、アマチュアです。どれも、お客さんは十数人~30人ほど。大規模な商業公演ではありません。
出演者にとって、表現することは生きることに他ならないでしょう。
そこで、私の職場にそれがないことに気付いたのです。

もちろん、職場に劇や音楽を演じる機会が必要なわけではありません。職場においては、毎日の業務を工夫する、協力して仕事を進めるといった「ちょっとしたこと」が、働く人の自己表現そのもののはずです。
形ばかりの「成果主義」により、その「ちょっとしたこと」が評価されなくなった結果、働く人の自己表現の機会が奪われてしまったのです。そう考えると、職場が無気力になったことにも、容易に説明が付きます。
その上、業務改善がないから効率が悪く、仕事に追われて残業も減りません。

でも、ここに気付く人は今までいなかったのでしょうか。なぜここまで悪化してしまったのでしょうか?
「企業社会と私」シリーズの中で、私は「多数派には、『流される特性』がある」と記しました。つまり、無気力でセクショナリズムの強い「空気」です。
それぞれの自己表現が奪われると、「空気」の支配力が強まるのは、想像に難くないでしょう。
そして、私はこう推測します。
「『空気』に、現場だけでなく経営層まで支配され、制御不能に陥っている」
空気を読まない(正確には「空気に飲まれない」)私は、この「空気」を外から見ることが出来ます。空気の中にいる人には見えません。
でも、これは日本の近代史とも重なることなのです。

私は決意しました。
私は、裏方とはいえ、演劇やライブを作る側でもあります。
今後そういう機会があり、今の仕事と両立出来ないときは、躊躇することなく「自己表現出来る」方を選択します。

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やはり脱サラしかない?-「企業社会と私」追補

2009年12月21日から2010年1月8日に連載した、「企業社会と私」シリーズ(全5件、勤めている会社で私が感じ、考えたこと、特に「成果主義」の弊害について私見を述べたもの)の追補です。

その連載のあと、知人にこの本を貸していただきました。
「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」
1990年代に、先進的に「成果主義」を取り入れたものの、社内の混乱を招き、業績を悪化させていった経緯が書かれています。

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)
(2004/07/23)
城 繁幸

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まるで、今私が勤めている会社のことが書かれているのかと思いました。成果主義や目標管理の仕組みもそうですが、「社内総無責任体制」「社員はこうして「やる気」を失った」など、社内の雰囲気や出来事があまりにそっくりなのです。
理由は若干異なるものの、「無気力化する中高年」もそのものであり、それが若手社員に悪影響を及ぼしているところも同じです。

しかし、この本にも、成果主義そのものが悪いとは書かれていません。うわべだけの制度導入により、成果主義がまともに機能しなかったことが問題と書かれています。
そして、「人間は(機械の)部品ではない」「人の気持ちを無視した制度に未来はない」と記されています。最も言いたかったことではないかと思います。
ここが、私の考えと完全に重なりました。今回の追補を書いた理由がここにあります。
私の会社も、形ばかりの「成果主義」により、従業員を機械の部品のように扱う結果を招きました。システムをつくり、マニュアルを配布すれば、あとは従業員が完璧に作動するはずと。
しかし、誰もが能力の凸凹を持っているわけで、ひとりひとりの能力をていねいに見ていかなければ、当然ながら能力は発揮されません。特に発達障害者は、能力の凸凹が大きく、これではシステムから外れてしまいます。
つまり、発達障害者が大切にされる環境は、すべての従業員が能力を発揮でき、会社の生産性にも必ずプラスになると考えます。

さて、私のことです。
私の会社では、機能していない「成果主義」により、労働意欲の低下と、「自分にさえ火の粉(責任)がかからなくなればOK」という保身的・個人主義的発想が蔓延しました。アルバイトの方が、「この会社は、新しいことをしようとすると、すべて自分に押し付けられてしまう」と言っていました。悲しく、情けない状況です。
私は、その雰囲気になじめず、微力ながら「おかしい」と言い続けてきました。でも、話がかみ合いません。もちろん、コミュニケーション障害を抱えた私のこと、かみ合わないのは当然かもしれません。しかし、保身的・個人主義的な考えになじめないのです。

最近、複数の方から転職(脱サラ)の勧めを受けます。それも、私のブログ記事を見てのことです。「今の会社にいてもやりたいことをやれない」とのこと。
今の会社でやるべきことは、やってきたと思います。そろそろ脱サラなのかもしれません。

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私はどうやら「見たものしか信じない」ようです。-仕事における私の困難さ

私が会社の中で「落ちこぼれ」になった原因には、「成果主義」(過去の記事「企業社会の中で私が見てきたこと」)だけでなく、技術的な側面もあります。
今までは、技術的に落ちこぼれた原因を自分の力不足と考えていましたが、考え直してみると、これも発達障害と関係がありそうです。
自閉症の「3つ組の障害」のひとつに、「想像力・創造性の障害」がありますが、その中の
・あいまいな指示や言葉を理解するのが苦手
・想像力に乏しく、抽象的な概念の理解が苦手
・細部への極端なこだわりから、全体像を把握するのが苦手
・ごっこ遊びやふり遊びが苦手
といった点が関係しているようです。

私自身に当てはめると、「物事をあいまいなまま把握するのが苦手」といったところでしょうか。先輩たちから「これはこういうもの」と説明されても、自分の中で説明が付かないと取り入れられないのです。
きっと、他の人は「何となくそういうもの」として、先輩たちの真似が出来るのでしょう。
しかし私は、どうしても細かいところまで考えてしまう上、想像力が不足しているため、何となく真似ることが出来ないようなのです。
でも、逆に「人の技を盗む」ことは得意な方です。理論的に説明が付く、目、耳、手で確認できるなど、「何となく」の中身が理解できれば進めるのです。「何となく」を解明するのは科学の基本、好きなことです。

技術系が「何となく」で行動するのは、本来危険なことです。事故につながります。
しかし、すべての物事が解明できるわけでなく、業種にもよりますが、「あいまいなまま把握する」ことも必要なのです。
会社の人たちを見ていると、「あいまいなまま把握する」ことと、「確実に詰める」ことの両方を得意とする人はいません。お互いが協力し合うことで、いいものが出来るはずです。

私のような者が「アインシュタインとボーア」を例に出すと笑われてしまいますが、物理は目、耳、手で確認したり、論理的な説明がしやすいのに対し、化学や生物はあいまいさを前提に考える必要があります。もちろん、私が得意なのは前者の方です。
開き直りかもしれませんが、自分を力不足と考えるのでなく、得意な領域の違いと考え、今の職場の中であっても、自分の得意な領域が活かせるよう働きかけていこうと考えています。

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新しい発達障害観の模索-「企業社会と私」シリーズまとめ

「企業社会と私」シリーズへのお付き合いありとうございました。今回はまとめです。
この連載では、つたない私の経験ではありますが、発達障害者の企業社会との関わりの一例をそのまま伝えたく、事実を可能な限り具体的に書くことから始めました。そのため、「成果主義」「目標管理」「(ビジネス)フレームワーク」「ISO9000」など、聞き慣れないビジネス用語が多く出てきたかと思います。意味がつかみにくかった言葉については、一度ネット検索にて調べていただけると幸いです。

後半では、多くの人が「(変と思っても)まわりに流される」行動を、「定型者の特性」(短所でもある)と考察しました。「特性」というと、発達障害者にばかり当てはめられがちですが、会社をダメにすることもある多数派(=おおむね定型者)の行動は、十分「特性」と呼ぶに値すると考えました。会社の多数派を見ていると、考え方どころか、口調まで同じになってきます。まるで「金太郎飴」状態です。それほどまでに強い「流される」特性を持つと見ています。逆に、発達障害者の流されない姿勢は、長所でもあります。
また、定型者の「普通」とされる部分を「特性」と呼ぶことにより、定型者と発達障害者を対等な関係として見ることが出来るのではないでしょうか。
そして、そこから出てきたのが「定型者と発達障害者が補完しあう関係」です。企業にとって補完しあう関係が必要不可欠であると考えたわけです。私は、社会全体がそうでなければ発展しないと真剣に思っています。

ここで、「補完しあう」ために、私が最も重要と思うことを挙げたいと思います。
「定型者、発達障害者ともに、自分自身の特性(長所、短所)を知り、またお互いその特性を知ること。」
私の会社では、自分の特性に気付かず、まわりも特性であることに気付かないために起こっているディスコミュニケーションが多く見られます。
自分自身の特性を知ることは、本人が抱えてきたストレス、生きづらさの原因を知るものであり、お互いの特性を知ることは、真のコミュニケーションを図るために必須であるはず。すべてはここからしか始まらないと、私は確信しています。

しかし、それにはまず、定型者によってつくられた、発達障害に対する「○○が出来ない」といったネガティブなイメージをなくさなければなりません。安心してオープンにできる環境がなくては、特性を語るどころか、自分の特性を受け入れることすら出来ません。何よりも優先する、緊急の課題です。
この連載が、ネガティブなイメージを払拭する一助になれば幸いです。

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(追記は、記事で使った言葉の解説です。)

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企業の中での「定型者と発達障害者のいい関係」を考える

「企業社会と私」シリーズその4です。前回(その3)は、多くの人と私の考えと行動の違いについて考察してみました。今回は、そこから企業の中で定型者と発達障害者がいい関係をつくれないかを考えます。

私は、定型者と発達障害者は補完しあう関係であるべきではないかと考えています。
まわりの雰囲気に流され、自分の考えと乖離した主体性のない行動を取る定型者だけでは、会社は活気を失い、業績も低下してしまいます。まじめで「何となく合わせる」ことが出来ない発達障害者は、そういう状態に警鐘を鳴らす大切な存在のはずです。
しかし、前回触れた、「成果主義」の波に乗る「アスペルガーかな」と思う人たちは、「言葉通り」が優先する雰囲気の中で非常に大きな力を発揮しますが、能力の凸凹ゆえ、どうしても一面的になりがちです。特に、今の「成果主義」は、表面的な成果しか見ていないという矛盾を抱えており、全体を考えない偏った方向に進みかねません。
多面的に見ることが出来るのは、定型者本来の特性。自立した(=流されない)定型者による「軌道修正」があって、初めてバランスの取れた方向に向かうと思います。
発達障害者は、どちらかといえばスペシャリスト。ゼネラリストと補完しあういい関係をつくることで、企業の生産性が向上していくのではと考えています。

「企業社会と私」シリーズは、次回、私がこの記事を書いた理由を簡単に記して、ひとまず締めくくろうと考えています。

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(追記を少し書きました。)

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まさ(climbmasa)

Author:まさ(climbmasa)
40歳を過ぎて、人とちょっとだけ違う自分に気付きました。ここでは、自分が感じたことを、そのまま表現していきます。
広汎性発達障害(アスペルガー症候群)の当事者です。「人並み」ができず、いろんな場面で苦戦していますが、多くの人に助けられながら生きています。
このブログを通じて、少しでも多くの人に発達障害のことを知ってもらえればと思います。
「自己紹介」カテゴリに、私のプロフィールを置いています。

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